■海外のベリー類は?

第4回 アメリカのブルーベリー生産事情―その3

ブルーベリー栽培研究グループ

主宰 玉田 孝人

◇はじめに

樹齢が50年以上経ったノーザンハイブッシュ「ジャージー」園。 (2010年、中西部地域のミシガン州にて)
ノーザンハイブッシュ「ジャージー」園

 前回は、アメリカの主要なブルーベリー生産州の気象条件について取り上げ、同じブルーベリーのタイプでも州によって、成長期および冬季間の気温、降水量に違いのあることを紹介しました。また、東京は、アメリカの生産州と比べて、成長期の降水量が多いこと(梅雨期間がある)についても述べました。

 今回は、アメリカの地域別およびタイプ別に、現在の主要品種を紹介します。

生産地域とタイプおよび主要品種

近年、新しいグループ(品種)の植付けが増大している (2010年、中西部地域のミシガン州にて)
近年、新しいグループ(品種)の植付けが増大している

 表1にブルーベリーのタイプ別に、主要品種を示しました。

 ここでは、便宜上、ノーザンブッシュの品種を、新(21世紀になってから発表さたもの)、旧(20世紀に発表されているもの)グループの二つに分けています。

 なお、新グループの品種は、現在のところ、日本では栽培されていません。旧グループの品種は全国各地で栽培されています。

表1
表1

1)西部地域

 西部地域は、北部諸州のノーザンブッシュ地帯とカルフォルニア州のサザンハイブッシュ地帯に分けられます。

 ノーザンハイブッシュの主要品種は、新グループでは「ドレイパー」、「リバティ」、「オーロラ」など。旧グループでは、「ブルークロップ」、「ブルーゴールド」、「レガシー」、「エリオット」などです。

 サザンハイブッシュは、フロリダ州立大学で育成された「スター」、「エメラルド」、「ジュウェル」などが主要品種です。

2)中西部地域

 この地域は、ミシガン州を中心としてノーザンハイブッシュ地帯です。主要品種は、「ジャージー」、「デューク」、「ブルークロップ」、「エリオット」などの旧グループです。

 依然として「ジャージー」(1928年の育成)が主要品種ですが、それは同種の加工適正が優れているためといわれています。しかし、近年、地元のミシガン州立大学から育成された新グループの「ドレイバー」、「リバティー」などへの更新が進んでいるようです。

3)北東部地域

 この地域は、ブルーベリーのマザーステート(ブルーベリー誕生の州)といわれるニュージャージー州が中心で、主要品種は、「デューク」(早生)、「ブルークロップ」(中生)、「エリオット」(晩成)の3つです。同州内には大規模栽培園が多いため、品種を特化し、機械化による栽培体系の確立が進められているようです。

4)南部地域

 南部地域は、サザンハイブッシュおよびラビットアイの栽培が主流ですが、州によってはノーザンハイブッシュも栽培されています。

 サザンハイブッシュの主要品種は、多くの州に共通しているものと、州独自のものとがあります。共通している品種は、「スター」、「ジュウェル」、「エメラルド」、「サミット」などです。また、フロリダやジョージア州では、「プリマドンナ」、「メドワーク」、「ファーシング」など、新しい品種の栽培も進んでいるようです。

 ラビットアイは、各州ともほとんど同じようで、「ブライトウェル」、「クライマックス」、「プリマイアー」、「パウダーブルー」などです。

 ノーザンハイブッシュは、ノースカロライナとアーカンソー州で栽培されていて、品種は「デューク」が共通しています。

■標準品種について

ノーザンハイブッシュの標準品種とされている「ブルークロップ」
ノーザンハイブッシュ「ブルークロップ」
ラビットアイの標準品種とされている「ブライトウェル」
ラビットアイ「ブライトウェル」

 ブルーベリーには、タイプごとに、主として品種特性(樹および果実の各種形質)を比較するために、基準となる標準品種があります。それらは次の3つです。

・ノーザンブッシュ:「ブルークロップ」

・サザンハイブッシュ:「スター」

・ラビットアイ:「ブライトウェル」

 なお、これらの品種は、日本ではもちろん、世界で最も広く(多く)栽培されています。

 

サザンハイブッシュの標準品種とされている「スター」
サザンハイブッシュ「スター」

生産地域と果実の収穫期

 

ブルーベリーの収穫期は、アメリカ全体では、南部地域・フロリダ州の3月から、西部地域・ワシントン州の10月まで、およそ8カ月にも及んでいます。日本の普通栽培と比べると、2か月早く始まり(日本では5月)、1か月遅く(日本では9月まで)終わっています。

 2回目に紹介しましたが、アメリカ産の生果は、2011年、約800t、日本に輸入されています。この量は、国内生産量(収穫)全体の約4分の1以上に相当します。そのため、アメリカの収穫期は、日本で流通する時期と品種を決定し、消費者の動向を左右しているといえます。例えば、日本の4~5月、アメリカ産生果は収穫期が早い南部地域のフロリダ州および西部地域のカルフォルニア州産のサザンハイブッシュ・早生種であると推測されます。その時期、国内産の生果は、同じサザンハイブッシュ品種の施設栽培ものになります。

 このように、日本産とアメリカ産の同一品種の生果が、同一時期に市場に出回った場合、日本のブルーベリー関係者は、日本の消費者に何を訴求すればよいのでしょうか。

 訴求したい点は、次回の「アメリカのブルーベリー生産事情から推察されること」で取り上げます。