■海外のベリー類は?

第二回 アメリカのブルーベリー生産事情―その1

ブルーベリー栽培研究グループ

主宰 玉田 孝人

◇はじめに

前回は、日本も含めて世界のブルーベリー生産は劇的に発展し、果実の流通がますますグローバル化している今日、販売戦略を立て、経営改善を図るためには、国内産地と併せて海外の生産状況についての情報収集が必要であると強調しました。その上で、まず2010年の世界全体の栽培面積(77,281ha)および生産量(340,996t)について示し、過ぎにブルーベリー産業発展の推進力を5つに分け、最後に日本がブルーベリー生果を輸入している相手国を紹介しました。

 今回は、アメリカのブルーベリー生産事情(その1)について紹介します。いうまでもなくアメリカは、ブルーベリー産業発祥の国であり、産業の規模、品種改良、生産技術および生理・生態的研究など、全ての分野で世界のトップリーダーです。

1.ブルーベリーはアメリカから導入された

 ブルーベリーが日本に初めて導入(公立機関)されたのは、1951年(昭和25年)、アメリカからでした。その後、品種は大学や公立の試験研究機関、また民間人によって導入されています。栽培(生産)では、研究者の地道な努力によって品種特性調査、適応試験、実際栽培にかかわる調査や試験研究が積み重ねられてきましたが、基本となったのはアメリカの研究報告でした。さらには、ブルーベリーの健康機能性に関しても同様で、果実の生活習慣病予防効果が高いのは「果実に含まれるポリフェノール類」によることもアメリカの研究報告によるものでした。

 このように、日本におけるブルーベリーの歴史はアメリカの導入品種に始まりましたが、60年後の今日でも、生産はアメリカの育成品種に依存しています。また、果実(生果)は大量に輸入され(2011年の輸入量は約800t、国内生産量の約3分の1)、国内のブルーベリー産業が支えられている状況下にあります。

2.生産地は西部地域に移動、その原因は新品種の誕生

生産地域は、大きくは、西部、中西部、北東部、南部の4つに分けられています(表1)。

2010年、アメリカ全体(カナダを含む)の栽培面積は約48,958ha(日本のリンゴ栽培面積より多い)、生産量は、合計(生果、加工用併せて)で約220,227tです。

(1)栽培面積―伸びるノーザンブッシュ、サザンハイブッシュ

 2007年から2010年までの栽培面積の伸び率をみると(2007年と2010年との比較)、伸び率が高いのは西部地域と南部地域です。

 両地域の栽培面積の増加は、大きくは、2つの理由によっています。1つは、樹および果実形質の優良な品種が育成されたことです。ノーザンハイブッシュの新品種の短儒によって、栽培は西部地域の北部州で冬季の低温がより厳しい地帯に広がり、サザンハイブッシュの新品種によって冬季が温暖な地域での栽培が広がりました。改植が進んだことも挙げられます。もう1つは、西部地域(特にカリフォルニア州の地中海性気候の所)では、サザンハイブッシュの成長および果実品質が、品種を育成した南部地域(各州)よりも優れていることでした

 

(2)生産量―生果と加工用の区別

 生産量は、栽培面積と比例し西部および中西部地域で多くなっています。生産量は、さらに用途別(生果および加工用)に分けられていますが、アメリカ全体では、生果が加工用よりも多く、総生産量の約61%です。

 用途別生産量は同一地域でも州によって違っています。これは、産地形成にあたって示唆に富む情報を示しています。すなわち、生果か加工用かの生産の区分は、地域および州の地理的条件、気象条件の相違、ブルーベリーのタイプ、成熟期(出荷期)、経営規模の大小、販売戦略、などが総合的に検討された結果であると考えられます。

 日本の場合、観光摘み取り園を中心とした栽培(果実販売)のため、今のところ、加工用を前提とした生産は無いようです。しかし、現在、進行中の6次産業化の進展に伴って、今後、加工を重視した品種選択、栽培方法の検討などが重要課題になると予想されます。